
◆2025年3月25日にアメリカS&Pが発表した、アメリカの主要な住宅価格指数「S&P/ケース・シラー住宅価格指数」によると、2025年1月の主要10都市平均の指数は、前年同月比+5.3%の上昇となりました。
アメリカの住宅価格は、新型コロナの経済活動停滞の影響で2020年4月から3か月連続で下落したものの7月からは上昇継続。その勢いは2022年6月に一旦止まったものの、2023年1月からは再度上昇。
2024年9月から下落してきたものの、10月以降はほぼ横ばいが続いています。
主要20都市平均の指数は、前年同月比+4.7%の上昇。
20都市を都市別にみていくと、前年比では1都市がマイナス、19都市がプラスとなりました。
一方、前月比の伸び率では主要10都市で+0.2%、20都市で+0.1%となり、都市別では20都市の9都市がプラス、11都市がマイナスとなりました。
◆そして、住宅関連指標でもう一つ重要なのが、住宅着工数。

2025年3月18日にアメリカ商務省が発表した、2025年2月の「住宅着工数」は前年同月比で-2.9%、前月比では+11.2%。戸数は、年率換算で150.1万戸。
また、グラフにはありませんが、この指標の先行指標となる住宅着工許可数は、前年同月比で-6.8%。前月比は-1.2%。戸数は、年率換算で145.6万戸の水準。
★着工数も許可数も2020年7月から2022年4月まで大幅増加したものの、2022年5月から減少。2023年に入り住宅ローン金利が大きく上昇し、価格も高くなり購入にブレーキが掛かかりました。住宅着工数は前年比では6か月連続の前年割れ。
◆米連邦準備理事会(FRB)は2022年3月、物価の高騰が続くためFRBは6年3か月ぶりに政策金利を利上げし、2023年も4回利上げされ、これにより短期金利である政策金利は合計+5.50%。
消費者物価の上昇に落ち着きが見られたため、2024年9月に2020年3月以来4年半ぶりに利下げをし、9月に-0.5%、11月、12月に各-0.25%下げ、4.50%となりました。
一方、長期金利は2022年1月にぐっと上昇し2月中旬には2%を超えたものの、ロシアのウクライナ侵攻で一旦低下。3月中旬から再度2%を超えて上昇、10月中旬からは4%を超えたものの、物価上昇が一息つき11月中旬以降は3.5%前後。
しかし、2023年は物価上昇率の高まりから3月上旬には4.0%まで上昇しましたが、3月中旬に銀行破綻が相次ぎ、金融不安から長期金利は4月上旬には3.2%まで下落。しかしその後上昇し10月には4.9%を超えました。その後物価上昇の落ち着きにより、年末に向けて下落。
2024年は年明けから上昇基調だったものの、5月以降は低下。10月以降は景気減速懸念が和らぎ年末まで上昇。
2025年以降はFRBが「利下げは急ぐ必要はない」と発言し、やや低下傾向
※10年国債金利
2018年末2.7% 2019年末1.9% 2020年末0.9% 2021年末1.5% 2022年末3.9%
2023年末3.9% 2024年末4.6% 2025年3月25日4.3%
30年固定の住宅ローン金利は、2022年1月から上昇を始めたものの、2024年春以降は下降。2025年3月25日は6.8%。
参考:日本の某地銀の2025年3月の30年固定金利は2.45%。
2008年の世界的な不況の大元は、アメリカの住宅バブルの崩壊から始まりました。
そして、新型コロナを端緒とした物価高騰と金利上昇による世界経済への影響が気になります。
今後も推移を見守りたいと思います。