政府が9日に発表した2013年第2四半期(4月~6月)の実質国内総生産(GDP)の”2次速報値”は、前期比+0.9%(年率換算では+3.8%)の増加となり、1次速報値に対し、0.3ポイント(年率換算で1.2ポイント)の上方修正されました。
政府は消費税の増税の実施可否を、2013年第2四半期(4月~6月)のGDP成長率の2次速報値をはじめとする各種経済指標で判断しますが、今回発表のデータは政府目標である「実質2%成長」は維持できています。
また、2013年第1四半期(1月~3月)のGDP成長率についても、年率で+3.8%から+4.1%と、前回報告よりも0.3ポイント上方修正され、2013年前半は4%前後の高成長となっています。
これを受けて、安倍総理は10月初旬にも、消費税増税実施可否の判断をする予定です。
今回の上方修正の主な要因は企業の設備投資の増加と政府の公共投資の増加です。
特に、設備投資については、1次速報では前期比-0.1%でしたが、2次速報では+1.3%とマイナスからプラスに転じました。
(方向が逆で、差が大きすぎるのは問題です)
年率換算で内訳を見てみると・・・
( )内は前期値
・輸出 +12.4%(+16.8%)
・輸入 +6.2%(+ 4.1%)
※輸出は2期連続のプラスです。アメリカの景気回復と円高是正
・公共投資 +12.7%(+5.8%)
※アベノミクス「機動的な財政出動」の補正予算の効果。
・個人消費 +2.9%(+3.3%)
※高額品やエアコン、衣料品の売上げ好調
個人消費はGDPの6割を占めますが、アベノミクスの効果で
元気が出ています。
・住宅投資 -1.0%(+7.7%)
※5四半期ぶりのマイナス。
但し、着工件数は増えています。工事代金支払いの反映遅れ。
翌期はプラスへ。
・企業の設備投資 +5.1%(-0.1%)
※6四半期連続ぶりプラス。
ところで、GDP成長率は一般的には「実質」で評価されますが、こちらは物価の影響を取り除いたもので、生活感覚に近いのは「名目」です。
この物価の影響のことを、「GDPデフレーター」といいます。
このデータは割と重要で、「デフレ」が続いているかどうかを見る目安にもなっています。
前期比では-0.0%となり、引き続きマイナスですが、マイナス幅は縮小しています。
また、前年同期比では-0.5%で、デフレは継続中です。
日銀の金融緩和による、デフレ脱却が期待されます。
(円安効果で輸入物価が上昇していますが、GDPは輸入が差し引かれるため、デフレーターは簡単にはプラスになりません)
景気の状況を半年程度早く映し出すといわれる株価は、昨年11月14日の野田前総理の"解散宣言"以降、上昇しています。
経済環境としては、各種調査では「景気は上向き」になっている傾向が表れていますが、6月以降は改善の勢いが減り、少し停滞気味です。
そのため、株価も6月以降は横ばい。
2020年の東京オリンピック開催への期待と、今回の2次速報の上方修正を受けて、9月9日の株価は大幅上昇し、14000円台を回復。
オリンピック開催に伴う、公共投資や関連産業への波及により、アベノミクスの「第4の矢」として、景気回復が継続し、株価も上昇していくといいですね。