総務省の発表によりますと、2013年12月の消費者物価指数(生鮮食料品を除く)(コアCPI)は、前年比+1.3%となり、前月より0.1ポイント上昇。
この水準の物価上昇率は、リーマンショック直後の2008年10月の+1.9%以来の水準となります。
物価で問題なのは"エネルギー・食料品を除く総合指数(コアコアCPI)"ですが、こちらは+0.7%。
前月比0.1ポイント上昇。
この重要な物価指数は、なんと1998年8月の0.7%以来の上昇となりました。
また、グラフにはありませんが、エネルギーも生鮮食料品も含んだ総合指数では+1.6%。
前月よりも0.1ポイント上昇。こちらも2008年10月の+1.7%以来の水準となりました。
以上により、2013年年間の物価上昇率は・・・
( )内は2012年
〇 消費者物価指数(生鮮食料品を除く)
・・・ +0.4%(-0.1%)
〇 エネルギー・食料品を除く総合指数
・・・ -0.2%(-0.6%)
〇 エネルギーも生鮮食料品も含んだ総合指数
・・・ +0.4%( 0.0%)
消費者物価指数(生鮮食料品を除く)は、5年ぶりにマイナスを脱出しプラス転換。
年間でプラスになった要因は、ガソリン、灯油、ガスなどの円安に伴う輸入品の値上がりと、自動車保険などの保険料の値上げなど影響しています。
さて、
12月は前年比で電気・ガス、ガソリン、灯油や外国パック旅行、宿泊料が上昇しました。
また、生鮮食料品を除く食料品全体としても、上昇率0.8%となり、前月0.4%よりも上昇幅が大きくなっています。
テレビを含む教養娯楽耐久財も、前月1.7%よりも上昇幅が拡大し、+2.6%と大きな伸びとなりました。
確実に物価は上昇しています。
こうした状況を踏まえ、政府は昨年12月の月例経済報告から「デフレ」の表現を4年2か月ぶりに削除しています。
昨年12月のボーナスが増えた人はいても、昨年給料が上昇した人は僅か。
コストプッシュインフレとなっていて、”悪いインフレ”が起きています。
今年の春闘では、労働組合の連合が「ベースアップ1%」を要求。
定期昇給分と合わせれば3%。
大企業を中心に「ベースアップ」容認の動きが出ていて、一部企業では業績好調による決算賞与の支給もあるようです。
この賃金アップの動きが、中小企業も含め行き渡ればデフレ脱却に向かっていくと思います。
さて、
物価は前年対比で測定され、国の政策によっても大きく変動するため、実態がとても見えにくくなっています。
・2010年4月
高校授業料の無償化により、物価が下り、その1年後はプラス。
・2010年10月
たばこ税を上げたことで、物価が上がり、その1年後はマイナスへ。
・2010年冬以降
エコポイントによる駆け込み需要の影響で、販売不振。値下げへ。
・2012年以降
原発停止による、化石燃料購入で原料高となり、電気代値上げ。
・2013年~ アベノミクスの円安により輸入品の値上がり。
・2014年~ 消費税UPによる値上がり。
資源エネルギー庁によると、レギュラーガソリンの全国平均価格は、2013年12月末現在は、2012年12月の水準よりも10.1円高い、158.1円。
原油価格の上昇により、12月以降ガソリン価格は上昇してきていて、直近の1月27日のデータでは158.7円。
日銀は、昨年4月に「物価上昇率の目標を2%を2年程度で達成する」とし、政府と一体になって様々な金融・財政・成長戦略を駆使して2%を目指していくことになりました。
が、現在の物価上昇は円安による輸入インフレの傾向が強く、アベノミクスによる円安状況が一段落すると、今までのような物価上昇は緩やかなものになると予想されますが、
1月22日の日銀黒田総裁の定例会見では「2014年度の終わりころから2015年度にかけて、物価安定目標である2%程度に達する可能性が高い」と発言し、2%達成には自信がありそうです。
グラフにある通り、2008年は一時的に2%を超えましたが、通年では1.5%。
昨年は、年初物価の下落が一段と進みましたが、3月を底に上昇に転じました。
上昇の仕方は2008年と同様の急激な上がり方ですので、一時的に2%に達することはありそうです。
尚、日銀の物価上昇率の目標2%については、「生鮮食料品を除いた総合指数」です。
物価の総合的な上昇をみるGDPデフレーターは、前年比ではまだマイナスです。