総務省が発表した「労働力調査」によると、2014年5月の失業率は3.5%。前月よりも0.1ポイント改善。
ちなみに男性が3.7%、女性は3.4%です。
5月の3.5%の水準は1997年12月以来の16年5か月ぶりの低さ です。
日銀の黒田総裁は3月19日の講演で
「3.5%と試算される自然失業率に近い"ほぼ完全雇用状態"」と指摘しました。
※完全雇用・・・
現行の賃金・価格で働きたいが職がないという非自発的失業は存在しない雇用状態で、
賃金の条件に合わないため自発的に転職していたり、働く意思がないなどの理由で失業している人は存在します。
失業者数は前月比12万人減少の、242万人。
1年前よりも37万人減っています。
一方、就業者は1年前よりも57万人増えていて、6,397万人です。
就業者は17か月連続で前年対比増えていて、一方で失業者数は48か月連続で減っていますので、確実に雇用環境は改善してきています。
※完全失業率=完全失業者数÷(完全失業者数+就業者数)
一方、厚生労働省が発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.09倍。
前月比では0.01ポイント改善。1年前は0.90倍でしたので、着実に改善しています。
改善は18カ月連続で、バブル崩壊直後の1992年6月の1.10倍以来、21年11か月ぶりの高い水準です。
ただ、この求人倍率の上昇は働き手である「15歳~64歳の生産年齢人口」が減っていることが根本にあり、景気が良くなって求人が増えると、求職者よりも求人数の方が増えてしまうため、求人倍率が上昇する傾向があります。
1.0倍の求人倍率は、10人の人がハローワークに求職届けをすれば、”職を選ばなければ”10人が職にありつける、と言う意味です。
尚、正社員だけに限ると、0.67倍で、10人の内、7人しか正社員になれないと言うことです。
全国的に求人倍率が1.09倍となりましたが、都道府県別では、全国の6割の28都府県は1倍以上です。
※岩手、宮城、山形、福島、茨城、群馬、東京、新潟、富山、石川、福井、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、和歌山、鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛
被災3県では、岩手が1.13倍、宮城1.25倍、福島は1.44倍と好調です。
倍率が高いのは、
東京が1.54倍、富山1.40倍、石川1.33倍、福井1.51倍、愛知は1.57倍、岡山1.49、香川1.40倍で、
「人手不足」が起きていますので、一部では賃金も上昇しています。
北陸3県は元気がいいのですが、北陸新幹線の開業や地元製造業の景気改善に影響しているようです。
香川は大企業が災害リスクを避けるためデータセンターを設立し、その雇用増加が要因のようです。
※静岡県は全国平均より劣りますが、1.07倍。前月より0.02ポイント改善。
ちなみに、0.8倍未満の県は、埼玉0.74倍、鹿児島0.78倍、沖縄0.63倍で、目立って低くなっています。
★複数の事業所がある企業の場合、その求人については本社所在地でカウントされるため、大企業の本社を抱える東京や大阪、愛知の求人倍率が高くなるようです。
※就業地別の求人倍率・・・東京1.54⇒1.13倍、大阪1.10⇒0.96倍、愛知1.57⇒1.50倍、
福島1.44⇒1.66倍、静岡1.07⇒1.15倍、埼玉0.74⇒0.88倍
就業地別の求人倍率でみてみると、33都府県が1.0倍以上となり、全国の7割の地域で好況となっています。
新規求人数は、80.5万人で、前月よりも5.5万人減少し、前年比では+3.1万人増えました。
パートも含む新規求人が増えていけば、企業の業績も上向いてきている証拠です。
そして、就職できれば、安心して生活が営めるようになり、消費も増えていきます。
一方、前年対比での
業種別の一般のパートタイムを含む新規求人数の伸び率は、4業種を除きプラスとなりました。
・建設業 + 2.3%
・製造業 +12.2%
・情報通信業 - 3.4%
・運輸、郵便業 + 2.2%
・卸売、小売業 0.0%
・学術研究、専門、技術サービス業 - 2.7%
・宿泊業,飲食サービス業 - 2.2%
・生活関連サービス業、娯楽業 + 6.7%
・教育、学習支援業 +11.0%
・医療・福祉 + 6.2%
製造業のプラスは12か月連続でプラスの伸び。この9か月は連続して10%越えの伸び。
”ものづくり”の国としては、是非この業種で一層の改善をしてもらいたいものです。
アベノミクスが始まり、財政出動や成長戦略により、雇用を増やしていく目標となっています。
効果が表れているようにも見えますが、今後も推移をしっかり見ていく必要があります。