
国土交通省の発表によると、平成26年5月の新設住宅の着工数は6.8万戸となり、前年同月比では-15.0%と、3か月連続で前年比減少となりました。
また、前月比でも-10.0%減少。
前年比で-15%もの大幅減少となったのは、2009年12月以来 4年半ぶり。
昨年9月までの契約であれば、消費税増税前の税率で契約できるため駆け込みでの契約が増えていました。
着工は契約よりも数か月遅れるため、昨年までは着工数が増加していました。
しかし、今年に入って駆け込み需要の反動減が出ています。
特に「持ち家」と「分譲住宅」の減少幅が拡大してきています。
一方「賃貸」が増加し続けていますが、
この要因の一つとして、来年1月施行の”相続税増税”の影響があります。
相続税の基礎控除が来年1月から縮小されるため、
固定資産を持っていると、今まで相続税を納める必要が無かった人も、
今後納税対象になる可能性が出てきます。
今のうちに「賃貸住宅」を建てることで、相続が起きても、
「貸家の土地は相続税の評価が下がる」ため、納税額を減らす効果があります。
”相続税対策”として賃貸住宅を建てる動きが活発化しています。
※相続税の基礎控除
現状 5000万円+法定相続人の人数×1000万円
来年1月~ 3000万円+法定相続人の人数×600万円
5月の着工数の内訳を見てみると、
「持ち家」は4か月連続で前年比減少となり、-22.9%。
「賃貸」は15ヶ月連続の増加で、+3.1%。
「分譲住宅」は4か月連続で前年比減少し、-27.1%。
東日本大震災の被災地の前年対比の伸びは・・・
全体 内持ち家
岩手;+ 2.9% -18.4%
宮城;+ 9.4% -18.7%
福島;+16.8% + 8.5%
復興庁のまとめ によると、東日本大震災で被災し、公営住宅や民間住宅、仮設住宅等に避難している人は、2014年3月時点で241,321人、戸数にして102,814戸。
住宅復興にともなう新築は、今後もますます増えていきます。
さて、静岡県の着工数は、
着工戸数が 1774戸 前年比-13.8%
内「持ち家」が 903戸 前年比-29.4%
住宅産業は、自動車と並んで”裾野”が広い産業です。
住宅産業が持ち直せば、日本経済も明るくなってくると思います。
長期金利が現在0.6%程度と低く、今年は政府の住宅購入対策もありますので、まだ住宅建築は増えていきそうです。
【今年の住宅建築の特典】
◆住宅ローン減税
所得税・住民税の控除が、H29年/12月までは10年間合計で最大400万円。
長期優良住宅と一定の省エネ住宅「認定低炭素住宅」には、10年間で100万円上乗せ。
また、年収に応じて、現金給付制度もあります。(10万円~30万円)
◆住宅建築に関わる贈与税の非課税枠拡大
基本・・・110万円までの贈与は無税
H26年は+500万円(省エネ性能がよければ更に+500万円)
※期間延長の検討がされています。
(住宅新築と増改築のために、両親、祖父母から贈与され、翌年の3/15までに上棟した場合)
◆相続時精算課税制度の住宅取得資金の特例
住宅取得のために、親(年齢制限無し;本来は65歳以上)が子供に2500万円までの贈与をした場合は、
贈与税は非課税。但し、相続時に贈与額を相続したものとして相続税の課税対象となる。
(50㎡以上の床面積、翌年3/15までに上棟、H26年末までの贈与、贈与税の非課税枠も併せて使用可能)
◆フラット35の金利優遇
長期の固定金利の住宅ローン「フラット35S」について、
H27/3/31までに申し込めば、当初の10年間は、適用金利から0.3%優遇。
(5年間は0.3%優遇タイプもあります。)
(参考;2014/7月 21年以上の金利 1.73 → 1.43% 10年間軽減
3000万円を35年で借りると、10年間優遇のタイプで、90万円程度利息が軽減されます)