FPよもやまばなし

浜松近郊で活動するファイナンシャル・プランナーFP鈴木が、世の中のお金にまつわることや、趣味の映画、山歩き、写真について、書き綴っています。

ふくろいFP-SERVICE」は・・・

静岡県西部・中部地方(浜松,磐田,袋井,掛川,菊川,御前崎,島田,藤枝,焼津,静岡)を中心に、家計の専門家であるファイナンシャルプランナーが、
子育て世代に評判の「マネースクール」の開催から始まって、お客様の家計診断、ライフプラン(キャッシュフロー表)の作成、資産形成・運用提案、住宅ローン相談、相続対策など、
お金についてのONE-STOPサービスをご提供いたします。
ふくろいFP-SERVICの詳細については以下をクリックしてください。


増え続ける国の借金、1038兆円

増え続ける国の借金、1038兆円

財務省が2014年9月末の「国の借金残高」を発表しました。

詳細はこちら

★過去最悪の1039兆円。
今年3月末よりも14兆円も増えました。
その内、国債が868兆円(普通国債は759兆円)です。

毎年40兆円を超える国債発行が予算化されていますので当然の成り行きです。

そして、2015年3月末にはなんと、1143.9兆円まで増える予想となっています。

500兆円を突破したのが、森政権の2001年度。それから僅か14年で2倍になりました。

借金が増えたのは、そもそも国債がたくさんあるため、この利子の支払いも多額です。
そして年金、医療、介護などの社会保障費などを国債増発でしのいだためです。


◆ところで、国の借金は、国民の借金となります。
今年10月1日時点の推定人口(1億2709万人)で割れば、私たちは、国民1人当たり817万円の借金を背負っていることになります。

この国債は誰が購入しているかと言うと、実は多くは私たち個人です。

「買ってない」と言う人が殆どでしょうが、お金の循環を考えると理解できます。

増え続ける国の借金、1038兆円

個人の家計の資産は、今年6月末では全国で1645兆円。
この内、安全資産である現預金は874兆円、保険・年金は441兆円あります。

詳細はこちら

これらのお金は銀行や保険会社などが運用しています。

その運用先が「国債」です。

増え続ける国の借金、1038兆円

国債保有先の内、銀行と保険会社で549兆円ありますので、私たちの資産は、巡り巡って「国債」に当てられていることになります。

また、昨年4月以降日銀が「次元の異なる金融緩和」をしているため、日銀の国債保有額は215兆円に達しました。
日銀の保有額は、昨年の3月末対比で87兆円も増え、一方で金融機関は50兆円減っていますので、実は日銀保有の国債も私たちの資産が巡っていることになります。


さて、日銀の資金循環統計によれば、家計の資産が1645兆円あっても、住宅ローン等の負債が355兆円もありますので、差し引き純資産は1290兆円です。

このまま国債発行が続けば、10数年で家計の余力はなくなるとも言われています。

※粗い試算
家計純資産1290-金融機関と日銀の保有額799=491兆円の余裕。毎年41兆円(2014年度予算)の新規国債発行が続くと・・・ 
491÷41=12年

日本の国債等がGDPの2.3倍もあるのに、金利が上昇せずにいるのは、「買っている人の殆どが日本人だから」。

海外の投資家が保有している国債等の比率は、2001年の3.5%を底にして今年6月末では8.5%。
確実に増え続けています。

そして、日銀の"異次元の金融緩和"で、国債の大量買入れをすることで、当面の長期金利の上昇を抑える効果を発揮し、10月末時点で0.45%と低位安定しています。


◆一方で、もう一つ恐れているのが、下のグラフにある国全体の収支である「経常収支」。

増え続ける国の借金、1038兆円


現在は海外への投資の成果である所得収支が黒字のため、経常収支としては黒字ですが、その内訳である貿易収支は、3年連続で過去最大の赤字となりました。
そして2014年も9ヶ月間で2013年と同水準に達しています。

貿易収支の赤字拡大により、9ヶ月間の経常収支は僅か1.2兆円の黒字で、年間として黒字維持はかなり危い状況です。

これは、原発停止により天然ガスや原油等の輸入が増えたことが主な原因ですが、実は輸入量は大きな変化はなく、円安による影響が多くを占めます。

アベノミクスによる円安は、"円安で次第に輸出が伸びる"Jカーブ効果が現われると言われていましたが、
それも過去の話のようで、
リーマンショック以降の円高でメーカーが海外生産比率を上げたことで、国内生産が減り、円安になっても輸出が増えない構造変化が起きているようです。


将来経常収支が赤字になる・・・国の収支が赤字ということは、海外から借金をしないと国としてやっていけないことを示します。

海外投資家は、国の財務状況に敏感です。
”財務状況が危ない”との見方になれば、国債の売りが止まらなくなり、たちまち金利が上昇し、ギリシャのような事態も考えられるわけです。

また、国内の巨大な投資家である金融機関も、「不測の長期金利の急上昇」リスクを回避するため、積極的な国債買い入れを抑制する動きもあるようです。


今年4月から消費税の増税が実施されましたが、現状の財政状況を考えると当然で、来年10月の増税も避けられないと思われます。

一方で将来の「社会保障」については、"痛みを伴う"制度改革は先送りが多くなっていて、
また、2012年11月 野田さんと安倍さんが国会の党首討論のTV中継中に、「2013年の通常国会で国会議員の定数削減する」と約束したにもかかわらず、1年経っても約束は守られず、
財政収支を改善する道筋は明瞭ではありません。

そして、海外投資家も注目している、今後の経済発展を促す「規制改革」も今一つ。


当たり前ですが、国債を買う人がいなくなる前に、財政の建て直しが必要です。


削除
増え続ける国の借金、1038兆円