総務省が10月30日に発表した「労働力調査」によると、2015年9月の失業率は前月並びの3.4%。
ちなみに男性が3.6%、女性は3.1%です。
この7ヶ月間は3.4%~3.3%が継続しています。
この水準は、1997年3月の3.3%以来の水準であり、
日銀の黒田総裁が指摘した「3.5%と試算される自然失業率に近い"ほぼ完全雇用状態"」を下回っています。
※完全雇用・・・
現行の賃金・価格で働きたいが職がないという非自発的失業は存在しない雇用状態で、
賃金の条件に合わないため自発的に転職していたり、働く意思がないなどの理由で失業している人は存在します。
※完全失業率=完全失業者数÷(完全失業者数+就業者数)
失業者数は前月より2万人増え、227万人。
1年前よりも6万人減っています。
この5ヶ月間は222万人~227万人を推移。
失業率も失業者数も、減るところまで減った感じで、まさに"完全雇用状態"となっているようです。
◆一方、就業者は前年よりも37万人増加の6,439万人です。
就業者は自営業も入っています。
就業者の内、自営業や役員を除く雇用者数でみると、5,335万人で、内1,986万人が非正規雇用となっています。
全体の37.2%が非正規です。
女性の就業が増えるに従って非正規雇用も増えていますが、女性は全体の55.9%が非正規となっています。
正規と非正規の待遇差改善は待ったなし!
一方、厚生労働省が同日に発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍。
前月よりも0.01ポイント改善。
1年前は1.10倍でしたので、着実に改善しています。
バブル崩壊直後の1992年1月の1.25倍以来、23年8ヶ月ぶりの高い水準です。
ただ、この求人倍率の上昇は働き手である「15歳~64歳の生産年齢人口」が減っていることが根本にあり、景気が良くなって求人が増えると、求職者よりも求人数の方が増えてしまうため、求人倍率が上昇する傾向があります。
ちなみに求人倍率1.0倍は、10人の人がハローワークに求職届けをすれば、”職を選ばなければ”10人が就職できる、と言う意味です。
尚、正社員だけに限ると、0.77倍で、10人の内、7人しか正社員になれないと言うことです。
全国的に求人倍率が1.24倍となりましたが、都道府県別では、全国の81%の38都道府県は1倍以上です。
被災3県では、岩手が1.21倍、宮城1.38倍、福島は1.46倍です。
倍率が高いのは、
東京が1.83、富山1.50、石川1.47、福井1.58、岐阜1.56、愛知1.55、岡山1.49、広島1.56、香川1.50で、「人手不足」が起きていますので、賃金も上昇しています。
※静岡県は全国平均を下回る、1.19倍。前月より0.01ポイント上昇。
ちなみに、0.9倍以下の県は、埼玉0.89、鹿児島0.86倍、沖縄0.88倍で、目立って低くなっています。
東京と埼玉は隣り合う県ですが、2倍の開きがあります。
★尚、複数の事業所がある企業の場合、その求人については本社所在地でカウントされるため、大企業の本社を抱える東京の求人倍率が高くなるようです。
※就業地別の求人倍率・・・東京1.83⇒1.30倍、大阪1.22⇒1.10倍、
愛知1.55⇒1.51倍、福島1.46⇒1.69倍、
静岡1.19⇒1.29倍、埼玉0.89⇒1.07倍
就業地別の求人倍率でみてみると、44都府県が1.0倍以上となり、全国の93%の地域で好況となっていて、就業地別の倍率の方が実態として良いようです。
ちなみに、就業地別の求人倍率では、福島、富山、福井が1.7倍を超えていて、本当に人手不足が起きています。
◆新規求人数は、86.5人で、前月よりも+4.9万人増加し、前年比でも+0.7万人増えました。
新規での求人が増えれば、まだ景気は拡大しているといえます。
前年対比での、業種別の一般のパートタイムを含む新規求人数の伸び率は、全体で+0.9%。
6業種がプラスとなりました。
・建設業 - 3.4%
・製造業 - 1.8%
・情報通信業 - 3.4%
・運輸、郵便業 + 3.6%
・卸売、小売業 + 0.9%
・学術研究、専門、技術サービス業 - 4.0%
・宿泊業,飲食サービス業 + 3.5%
・生活関連サービス業、娯楽業 - 2.7%
・教育、学習支援業 + 9.8%
・医療・福祉 + 4.5%
・その他サービス業 + 0.6%
製造業が3ケ月連続でプラスとなりました。
”ものづくり”の国としては、是非この業種で改善をしてもらいたいものです。
宿泊業,飲食サービス業は、4ヶ月連続でプラスとなり、景気回復による国内需要と、中国人をはじめとする来日外国人の増加が影響しています。
アベノミクスは、財政出動や成長戦略により、雇用を増やしていく目標となっています。
効果が表れているようにも見えますが、今後も推移をしっかり見ていく必要があります。