米国労働省が2017年7月7日に発表した2017年6月のアメリカの失業率は、前月より0.1ポイン悪化の4.4%。
1年前の4.9%に対し、0.5ポイントの改善です。
この水準は2001年5月の4.3%以来の16年ぶりの低水準です。
6月の失業率は大半のFRB当局者が「完全雇用とみなす4.6%」の水準を下回っています。
16歳以上の一般の人口に対し、労働力人口を示す「労働参加率」は前月より0.1ポイント改善の62.8%となりました。
◆6月の雇用の増加数は22.2万人の増加となりました。
良好な雇用改善の目安である「+20万人」を上回っています。
FRB(アメリカの中央銀行)の目標の一つに、雇用改善の目安として「完全雇用状態では7.5万人~12.5万人増加が適正」との認識がありますが、6月はこれを大幅に達成。3か月平均でも上回っています。
6月の時間当たりの賃金上昇率は、前月並びの前年比+2.5%となりました。(尚、望ましい水準は3%程度とされています)
また、失業者に占める27週間(半年)以上の長期失業者の割合は前月より0.4ポイント改善し、23.8%。
正規雇用を望みながらパート就業する人も含めた広義の失業率は、前月より0.2ポイン悪化し8.6%。
一方で5月のCPI総合:前年比物価上昇率は+1.9%、コア(食品、エネルギーを除く)は+1.7%。
FRBは、”質の良い雇用と物価上昇率2%”を目指していて、「賃金、労働参加率の上昇」「長期失業者の減少」「物価上昇率が中期的に2%に向かっていくと確信」ができたため、2015年12月16日に「0金利政策」を解除して利上げし、2016年12月に2回目、2017年3月に3回目、そして6月に4回目の利上げをしました。
賃金、物価上昇が望ましい水準まで達していないため、今後の利上げは微妙です。
アメリカ長期金利
2015年 11月末 2.2%
12月末 2.3%
2016年 12月末 2.4%
2017年 3月末 2.4%
6月末 2.3%
2015年12月以降、FRBは計4回の利上げを実施し、1%上げましたが、長期金利へは波及していません。
雇用環境は好調ですが、
・住宅着工件数は前年割れが2か月続き、
・自動車販売台数は今年に入ってから5か月連続で前年割れが継続。
・そして、賃金・物価の上昇力が弱いため、
先々アメリカの景気は減退するのではないか、との意見も出ています。
雇用の増加は、消費の回復となります。
その意味では、日本のみならず、世界の景気を考えた場合、アメリカの景気回復はとても重要です。
アメリカの企業は業績が悪化すると、即雇用調整に動きますが、一方で回復すれば雇用も回復していきます。
ですので、景気の状況が良く分かります。
ところで、アメリカの労働状況はアメリカの労働省のホームページに詳しく書かれていて、これを見ると、アメリカらしい統計データが見ることができます。
それは、失業率を人種別に記載している点。
全体では、4.4%(男性4.4%、女性4.4%)としていますが、
・白人 ・・・ 3.8%
・黒人、アフリカ系 ・・・ 7.1%
・アジア系 ・・・ 3.6%
・ヒスパニック、ラテン系 ・・・ 4.8%
よく聞く話しですが、白人の方が雇用環境は良さそうです。
アジア系もいいです。