総務省が2017年9月29日に発表した「労働力調査」によると、2017年8月の失業率は、2.8%。前月と変わらず。
(今年に入って6回目の2.8%・・・失業率の底かもしれません)
1994年6月の2.8%以来の低水準となりました。
ちなみに男性が2.9%、女性は2.5%です。
この水準は、日銀が指摘した「3%程度と試算される構造失業率に近い"ほぼ完全雇用状態"」を示しています。
※完全雇用・・・
現行の賃金・価格で働きたいが職がないという非自発的失業は存在しない雇用状態で、
賃金の条件に合わないため自発的に転職していたり、働く意思がないなどの理由で失業している人は存在します。
※完全失業率=完全失業者数÷(完全失業者数+就業者数)
失業者数は前年同月より23万人減少の189万人。
尚、前月からも2万人減っています。
7年3か月連続で前年比減少しています。
◆一方、就業者は前月比+10万人、前年同月よりも+84万人の6,573万人で、4年8か月連続で前年比増加しています。
就業者には自営業も入っています。
自営業者と経営者を除く雇用者の内、正規は前年比+56万人の3,421万人で、2年9か月連続で前年同月比増加しています。
雇用者の内、非正規は2,054万人で、全体の37.5%を占めています。
女性の就業が増えるに従って非正規雇用も増えていますが、女性は全体の55.2%が非正規となっています。
国が”同一労働同一賃金”の方針を出しましたが、正規と非正規の待遇差の改善は待ったなし!
一方、厚生労働省が同日に発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.52倍。前月と同水準。
1年前は1.37倍でしたので、着実に改善しています。
バブル期最高の1990年7月の1.46倍を上回り以来、1974年2月の1.53倍以来の43年5か月ぶりの高水準です。
ただ、この求人倍率の上昇は働き手である「15歳~64歳の生産年齢人口」が減っていることが根本にあり、景気が良くなって求人が増えると、求職者よりも求人数の方が増えてしまうため、求人倍率が上昇する傾向があります。
ちなみに求人倍率1.0倍は、10人の人がハローワークに求職届けをすれば、”職を選ばなければ”10人が就職できる、と言う意味です。
尚、正社員の倍率は1.01倍で、正社員も職を選ばなければ全員が正社員になれると言うことです。
尚、3か月連続で1倍を超えました。
※職を選ばなければ・・・資格が必要な職もあるため、単純な話ではありません。
◆全国平均で求人倍率は1.52倍となり、都道府県別では全47都道府県が1倍以上となりました。
倍率が高いのは、
東京2.10
富山1.85、石川1.86、福井2.10
岐阜1.83、愛知1.82
岡山1.79、広島1.85、香川1.74
で、大幅な「人手不足」が起きていますので、賃金も上昇しています。
※静岡県は全国平均を上回り、1.55倍。前月より0.2ポイント下落。
★尚、複数の事業所がある企業の場合、その求人については本社所在地でカウントされるため、大企業の本社を抱える東京の求人倍率が高くなるようです。
※就業地別の求人倍率
東京2.10⇒1.50倍、大阪1.59⇒1.40倍、愛知1.82⇒1.78倍
静岡1.55⇒1.66倍、福井2.10⇒2.19倍、岐阜1.83⇒1.94倍
福井県の企業は、働き手の確保が非常に厳しそうです。
逆に東京は全国平均よりも低い。
◆新規求人数は、94.4万人で、前月よりも2.2万人増加し、前年比では5.5万人増加しました。
まだまだ高水準の新規求人が出ていますので、景気は拡大しているといえます。
前年対比での、業種別の一般のパートタイムを含む新規求人数の伸び率は、全体で+6.3%。
全11業種がプラスとなりました。
・建設業 + 8.0%
・製造業 +11.7%
・情報通信業 + 1.2%
・運輸、郵便業 +12.3%
・卸売、小売業 + 2.1%
・学術研究、専門、技術サービス業 + 8.6%
・宿泊業,飲食サービス業 + 1.8%
・生活関連サービス業、娯楽業 + 6.1%
・教育、学習支援業 +18.3%
・医療・福祉 + 6.5%
・その他サービス業 + 6.3%
医療・福祉業は7年7か月連続でプラスとなり、高齢化に伴う福祉業界の人手不足が慢性化していることが分かります。
また宿泊業,飲食サービス業は、2年3か月連続でプラスとなり、景気回復による国内需要と、中国人をはじめとする来日外国人の増加が影響しています。