FPよもやまばなし

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2016年の「働けないリスク」は若干低下

2016年の「働けないリスク」は若干低下

全国健康保険協会(協会けんぽ)が2017年7月8日に公表した「現金給付受給者状況調査報告:傷病手当金」をもとに、働けないリスク(就労不能リスク)を作成しました。
※協会けんぽ・・・自社の健康保険組合を持たない、主に中小企業で働く従業員や家族が加入する、厚労省所管の公的法人。

健康保険制度には、就労不能となった場合に、健康保険から支給される「傷病手当金」があります。(自営業者等が加入する国民健康保険にはありません。)

この制度は、勤務先を病気やけがで連続3日休み、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。
休む理由として、入院だけでなく医師等の証明があれば自宅療養でも大丈夫ですが、業務外での病気やケガの治療のためです。(業務上の場合は労災保険の対象です。)

給付金は、治療で仕事を休み、収入が減少したことへの生活費の保障ですので、給与が支払われている場合は支給されません
但し、給与の方が傷病手当金よりも少なければ、差額が健保より支給されます。

支給期間は、最長1年6ヶ月ですが、支給開始日からカウントされ、断続的に仕事に復帰しても、期間含まれます。
※1年6か月たっても傷病が治らない場合は、「障害年金」の申請となり、認定されれば「障害年金」を受給できます。

支給額は、支給開始前1年間の平均標準報酬月額の1/30(1日分)の2/3となっています。
※障害年金の受給額は、扶養者の人数によっても異なりますが、傷病手当金よりも減ることが多い。

さて、「協会けんぽ」のデータですが、2016年10月に傷病手当金を受給されていた方のデータとなっています。
「協会けんぽ」の被保険者(被扶養者は除く)の人数は2225万人。その内、8.8万人が傷病手当金を受給していますので、受給率は0.4%となります。

1000人当たりでは、4.01人。
2015年:4.13人←2014年:4.29人←2013年:4.32人
徐々に減っています。

1年当たりの受給率は0.4%と、かなり低いわけですが、サラリーマンとして働く40年間でみると、そのリスクは積み上がり、
25歳の人が64歳迄に、「働けなくなるリスク」は15%に達します。
※ちなみに、64歳迄にがんに罹患するリスクは16%。

一方、25歳~64歳の傷病手当金の平均受給額は184千円。同年齢の平均標準報酬月額は297千円ですので、働けないことにより、月収が113千円減少しています。

グラフにあるとおり、標準報酬月額は、いわば平均的な月給ですので、年齢とともに増えますが、1/3は減りますので、高校や大学に進学する子供を持つ世帯や、住宅ローンを返済している世帯は、家計のやりくりはかなり厳しくなります。

そして、どんな要因で傷病手当金を受給しているのか、その要因は男女で若干差がありますが、最も多いのが、「精神疾患(躁うつ病や神経症、ストレス)」、そして2番目に「がん」、3番目は男女差がありますが、男性は「心臓・脳疾患」、女性は「関節・脊椎・椎間板」となっています。
女性4番目の「妊娠・出産・産じょく」は、正常妊娠・分娩以外の、疾病です。

平均受給期間は164日で、5か月半と長期となっています。
傷病別では、最も長いのが「精神・行動障害(躁うつ・統合失調等)」で216日、2番目が「循環器(心臓・脳)」で194日、3番目が「がん」で189日です。ちなみに「妊娠・出産・産じょく」は55日です。

職場でのメンタルヘルスの重要性が叫ばれてからずいぶん経ちますが、サラリーマンは相変わらず辛い環境で働いています。
「がん」「脳、心臓」などフィジカルヘルスは、毎年健康診断でもある程度把握していますが、メンタルは2015年から50人以上の職場で義務付けられた「ストレスチェック」のみ。

健康診断は本人の結果については勤務先も知ることになりますが、ストレスチェックは受診者の許可がないと知らされない。
また、ストレスが多い職場と診断されても、はたして改善されるのか。
そもそも、従業員側にはチェックを受ける義務がないので、健康診断のように広がっているのかやや疑問。


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2016年の「働けないリスク」は若干低下