総務省が2018年3月30日に発表した「労働力調査」によると、2018年2月の失業率は、2.5%。前月より0.1ポイント悪化しました。
1993年8月の2.5%以来の低水準となりました。
ちなみに男性が2.6%、女性は2.3%です。
この水準は、日銀が指摘した「3%程度と試算される構造失業率を下回る"ほぼ完全雇用状態"」を示しています。
※完全雇用・・・
現行の賃金・価格で働きたいが職がないという非自発的失業は存在しない雇用状態で、
賃金の条件に合わないため自発的に転職していたり、働く意思がないなどの理由で失業している人は存在します。
※完全失業率=完全失業者数÷(完全失業者数+就業者数)
失業者数は前年同月より22万人減少の166万人。
尚、前月からは7万人増えています。
7年9か月連続で前年比減少しています。
◆一方、就業者は前月比16万人増加、前年同月よりも+151万人の6,5782万人で、5年2か月連続で前年比増加しています。
就業者には自営業も入っています。
自営業者と経営者を除く雇用者の内、正規は前年比+33万人の3,430万人で、3年3か月連続で前年同月比増加しています。
雇用者の内、非正規は前年比+115万人の2,120万人で、全体の38.2%を占めています。
女性の就業が増えるに従って非正規雇用も増えていますが、女性は全体の56.9%が非正規となっています。
国が”同一労働同一賃金”の方針を出しましたが、正規と非正規の待遇差の改善は待ったなし!
一方、厚生労働省が同日に発表した2月の有効求人倍率(季節調整値)は1.58倍。前月よりも0.01ポイント悪化。
1年前は1.44倍でしたので、着実に改善しています。
バブル期最高の1990年7月の1.46倍を上回り、1974年1月の1.63倍以来の44年1か月ぶりの高水準です。
ただ、この求人倍率の上昇は働き手である「15歳~64歳の生産年齢人口」が減っていることが根本にあり、景気が良くなって求人が増えると、求職者よりも求人数の方が増えてしまうため、求人倍率が上昇する傾向があります。
ちなみに求人倍率1.0倍は、10人の人がハローワークに求職届けをすれば、”職を選ばなければ”10人が就職できる、と言う意味です。
尚、正社員の倍率は1.07倍で、正社員も職を選ばなければ全員が正社員になれると言うことです。
尚、9か月連続で1倍を超えました。
※職を選ばなければ・・・資格が必要な職もあるため、単純な話ではありません。
◆全国平均で求人倍率は1.58倍となり、都道府県別では全47都道府県が1倍以上となりました。
倍率が高いのは、
東京2.09
富山1.99、石川2.02、福井2.00
岐阜1.92、愛知1.89、三重1.70
岡山1.86、広島1.98、香川1.77
大幅な「人手不足」が起きていますので、非正規の賃金は上昇しています。
正規社員の賃上げは僅かの上昇に留まっていますので、企業収益改善の下、この力強い上昇継続が重要。
※静岡県は全国平均を上回り、1.65倍。前月より0.04ポイント上昇。
★尚、複数の事業所がある企業の場合、その求人については本社所在地でカウントされるため、大企業の本社を抱える東京の求人倍率が高くなるようです。
※就業地別の求人倍率
東京2.09⇒1.52倍、大阪1.69⇒1.45倍、愛知1.89⇒1.86倍
富山1.99⇒2.17倍、岐阜1.92⇒2.02倍、広島1.98⇒1.78倍
静岡1.65⇒1.76倍、
富山県、岐阜県の企業は、働き手の確保が非常に厳しそうです。
逆に東京、大阪は全国平均よりも低い。
◆新規求人数は、101.5万人で、前月よりも1.2万人増加し、前年比では0.1万人増加しました。
まだまだ高水準の新規求人が出ていますので、景気は拡大しているといえます。
前年対比での、業種別の一般のパートタイムを含む新規求人数の伸び率は、全体で+0.2%。
全11業種中6業種がプラスとなりました。
・建設業 + 1.8%
・製造業 + 5.4%
・情報通信業 - 3.2%
・運輸、郵便業 + 6.6%
・卸売、小売業 - 1.7%
・学術研究、専門、技術サービス業 - 1.7%
・宿泊業,飲食サービス業 + 8.5%
・生活関連サービス業、娯楽業 + 0.4%
・教育、学習支援業 + 2.1%
・医療・福祉 + 3.7%
・その他サービス業 - 1.8%
医療・福祉業は8年間1か月連続でプラスとなり、高齢化に伴う福祉業界の人手不足が慢性化していることが分かります。
また運輸、郵便業は、景気回復や通販による需要増加により、1年4か月連続で求人が増え続けています。
宿泊業については2020年のオリンピックに向けて、訪日客が増えていき、ホテル等も増築中のため、まだ求人は増えると予想されます。