総務省の発表によりますと、2013年7月の消費者物価指数(生鮮食料品を除く)は、前年比+0.7%となり、前月より0.3ポイント改善。
この水準の物価上昇率は、リーマンショック直後の2008年11月の+1.0%以来の水準となります。
物価で問題なのは"エネルギー・食料品を除く総合指数"ですが、こちらも改善し-0.1%。
前月よりも下落幅は0.1ポイント改善。
こちらも、2009年2月の-0.1%以来の水準となります。
また、グラフにはありませんが、エネルギーも生鮮食料品も含んだ総合指数では+0.7%。
2か月連続で、前月比0.5ポイント改善。
電気・ガス、ガソリン、灯油が上昇し、テレビや家具などの耐久消費財の下落幅が縮小しました。
電気・ガス料金や一部食料品の値上げがあり、今後も値上げが予定されています。
中には価格は据え置きして、内容量を減らして”実質値上げ”しているものもあり、円安もあってじわじわ値上げが進んでいます。
主に輸入物価の上昇に伴う物価上昇ですが、確実に物価は上昇を始めています。
今年ボーナスが増えた人は少しはいても、給料が上昇した人は極僅か。
コストプッシュインフレとなっていて、”悪いインフレ”が起きています。
さて、
物価は前年対比で測定され、国の政策によっても大きく変動するため、実態がとても見えにくくなっています。
・2010年4月
高校授業料の無償化により、物価が下り、その1年後はプラス。
・2010年10月
たばこ税を上げたことで、物価が上がり、その1年後はマイナスへ。
・2010年冬以降
エコポイントによる駆け込み需要の影響で、販売不振。値下げへ。
・2012年以降
原発停止による、化石燃料購入で原料高となり、電気代値上げ。
・2013年~ アベノミクスの円安により輸入品の値上がり。
資源エネルギー庁によると、レギュラーガソリンの全国平均価格は、2013年7月末現在は、2012年7月の水準よりも19.2円高い、158.8円。
原油価格の値下がりと販売競争により、ガソリン価格は低下していましたが、シリア情勢の混迷もあって原油価格も上昇し値上げが続いています。直近の8月26日のデータでは160.2円。
日銀は、先日「物価上昇率の目標を2%を2年程度で達成する」とし、政府と一体になって様々な金融・財政・成長戦略を駆使して2%を目指していくことになりました。
しかし、2012年の通年の物価上昇率は「-0.1%」。
グラフにある通り、2008年は一時的に2%を超えましたが、通年では1.5%。
今年になって、物価の下落が一段と進み、3月を底に上昇に転じました。
上昇の仕方は2008年と同様の急激な上がり方ですので、一時的に2%に達することはありそうです。
尚、日銀の物価上昇率の目標2%については、「生鮮食料品を除いた総合指数」です。
物価の総合的な上昇をみるGDPデフレーターは、第2四半期では前期比ではプラスに転じましたが、前年比ではまだマイナス。
◆デフレは、物価が下落するため家計には助かりますが、
● 一方「まだ下がる」との思いが消費を遅らせることにもなり、
● 値下げ勝負を企業が続けることで、利益が出にくくなり、
● 結果として、賃金の引き下げにつながることもあります。
● 収入が減れば、より安い物を買い求める。
こうしたことでデフレになると、不況から脱出が遅くなる、と言われています。