本「スノーボール ウォーレン・バフェット伝」

FP鈴木

2010年06月22日 20:00


アリス・シュローダー著「スノーボール ウォーレン・バフェット伝」
伏見威蕃訳
(日本経済新聞社刊、上下巻共に2500円)

「オマハの賢人」と呼ばれ、世界一の富豪にして大投資家ウォーレン・バフェットの、唯一の公認伝記がこの本です。

この本には、彼の投資手法が書かれているわけではありません。

※投資手法についてはこちらこちらを参照。

今年80歳となる人生経験の中で、家族や生活、価値観や投資戦略と言ったものが書かれています。


6歳のときに初めて貯金したのが20ドルちょっと。
そして2007年に世界一の富豪となっとき、何と620億ドル。

本のタイトルである「スノーボール」は「雪球」のことですが、
"最初は、小さな雪球でも、長いくだり坂があれば、みるみる内に大きくなり、巨大な雪球となる"ことを指しています。

これは投資で言えば「複利の効果」を表しています。

「筋のいい会社の株を、安値で買って長期間投資続ければ、利益が利益を産み、大きな資産となっていく」投資手法です。


好きなものは、ハンバーガー、ポテトフライ、チェリーコーク、そしてトランプゲームのブリッジ。

大親友の1人が、マイクロソフトのビル・ゲイツで、2006年には彼の慈善財団に370億ドルもの寄付を発表しました。
※バフェットが所有するバークシャー・ハザウェイ株の寄付のため、時価によって寄付金額が異なります。

彼は真の投資家です。
株式を買うのではなく、企業を買って成長させるのが基本。

80年の人生を描いているため、様々なことが書かれていますが、
1990年以降の様々な出来事は私の記憶にもあって、「裏話」を知ることができて、スリリングです。

特に驚いたのは、世の中がITバブルに沸いていた1999年に、
「経済成長率以上に株価が上昇している現状は異常」と明言したこと。

そして、ビル・ゲイツが勧めても、”自分が理解できないIT関連企業へは投資しない”姿勢を貫いたこと。

また、2007年に起きたサブプライムローン問題。
この住宅バブルの崩壊が起きる5年前に、大問題が起きることを予見していました。

「金持ち優遇だから」と言って相続税廃止法案に反対し、ストックオプションを費用計上しない会計処理に反対し、デリバティブを「金融の大量破壊兵器」と断じたバフェット。

これからもバフェットは目が離せません。

関連記事