国民年金や厚生年金の積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の、2017年度(H29年度)の運用実績が2018年7月6日に公表されました。
2018年3月末の運用資金は161.9兆円で年度末では過去最高。
2014年10月にリスクの少ない国内債券を減らし、リスク資産である、国内株式や外国株式、外国債券への投資を増やす資産構成に変更されました。
これにより、株価や為替レートによって収益も振れることになりましたが、2014年度~2017年度の4年間合計で28.0兆円、年平均収益率5.3%を計上しました。
◆リーマンショックが起きた2008年度は、国内債券以外は全てマイナスの利回りとなり、収益額は-9.3兆円にもなりました。
しかし、2009年度は一転して、世界経済の回復期待から、国内、外国の株式が回復し、収益額は+9.2兆円。1年間で前年度のマイナスをほぼ吸収しましたが、2010年度は再びマイナスとなり、2011年度に+2.6兆円の収益となって、3年間でリーマンショックのインパクトは吸収。
そして2012年度は、11月中旬からのアベノミクスの効果で円安に向かい、国内株式が絶好調となって+11.2兆円の運用益となりました。
2013年度も引き続き円安と内外の株高により年間として10.2兆円の収益を獲得。
そして、運用資産の構成を積極化(リスク資産増加)した2014年度は、株価上昇により15.3兆円を計上しましたが、2015年度はリスク資産の下落により-5.3兆円。
2016年度、トランプ大統領への期待から+7.9兆円。
2017年度も引き続き好調な世界的な景気回復に支えられ、+10.1兆円
運用開始後の17年間の累計では63.4兆円。収益率は通算で+3.1%
◆2017年度の各運用資産の収益率(利回り)は下記の通りです。
各資産がプラスとなっています。
国内株式 ・・・ +15.66%
外国株式 ・・・ +10.15%
外国債券 ・・・ + 3.71%
国内債券 ・・・ + 0.80%
(参考) 資産構成の変化
2014/3末 2015/3末 2018/3末 基本構成
国内株式 ・・・ 16.5% 23.0% 25.1% 25%
外国株式 ・・・ 15.6% 21.9% 23.9% 25%
外国債券 ・・・ 11.1% 13.2% 14.8% 15%
国内債券 ・・・ 55.4% 41.2% 27.5% 35%
短期資産 ・・・ 1.4% 0.7% 8.7%
※基本構成の比率は±4%~10%程度の乖離は許容されています。
◆リスク資産が増えましたので、運用管理者の責任も重くなります。
年金は数十年という長い期間で運用されていきますので、1年程度の運用成績で一喜一憂する必要は無いのですが、
将来私たちがもらう年金資産ですので、気になりますし、注目しています。