◆2018年9月25日にアメリカS&Pが発表した、アメリカの主要な住宅価格指数「S&P/ケース・シラー住宅価格指数」によると、2018年7月の主要10都市平均の指数は、前年同月比+5.5%の上昇となりました。
伸び率は4か月連続で、前月の伸びよりも鈍化
尚、主要20都市平均の指数は、前年同月比+5.9%の上昇。
こちらも伸び率は4か月連続の鈍化しています。
20都市を都市別にみていくと、前年比では、全都市がプラスとなり、中でもシアトルとサンフランシスコ、ラスベガスが10%以上の上昇率となりました。
227.1ポイントの水準は、ピークの2006年6月の226.3を超え、過去最高水準を2か月連続で更新しました。
一方、前月比の伸び率では主要10都市は+0.2%、20都市でも+0.3%と、上昇しました。
都市別では20都市中、ニューヨークを除き19都市が前月比プラスとなりました。
シアトルのみが僅かに前月比下落となりましたが、前月比では12.1%の伸びです。
価格上昇の根本には、在庫が低水準で、需要に供給が追い付かず、木材価格が上昇していることにあるようです。
◆そして、住宅関連指標でもう一つ重要なのが、住宅着工件数。
2018年9月19日にアメリカ商務省が発表した、2018年8月の住宅着工件数は前年同月比で+9.4%、3か月ぶりに前年比上昇。前月比でも+9.2%。
戸数は、年率換算で128.2万戸。
3年5か月連続で100万戸の水準を維持しています。
またグラフにはありませんが、この指標の先行指標となる住宅着工許可件数は、前年同月比で-5.5%。前月比は-5.7%。
戸数は、年率換算で122.9万戸の水準。
5年連続で100万戸を超えです。
アメリカの住宅建築は今は好調ですが、用地と労働者の不足、木材価格の上昇によって、賃金上昇を上回る住宅価格の上昇となり、住宅市場の重しとなっているとの見方も出ています。
そして、この木材価格の上昇は、日本の輸入材の価格に影響しています。
これによって、日本の住宅建築価格の上昇につながってきています。
◆米連邦準備理事会(FRB)はアメリカ経済の好調で、雇用、賃金の改善がまずまずの状況が続いてるため、2015年12月に「0金利政策」を停止し、9年半ぶりに政策金利を+0.25%上げました。
更に、政策金利は2016年12月には2度目の利上げをし、2017年には3回の利上げをし、そして2018年3月に6度目、6月に7度目の利上げを実行しました。
また、2017年9月にこれまでの金融緩和で膨らんだFRBの債券の圧縮が決定しました。
一方、長期金利は中国経済の鈍化、イギリスのEU離脱決定を受けて、2016年は10月まで金利が下がっていきました。
そこに、予想外のトランプさんの次期大統領当選で、2016年11月以降長期金利は上昇しましたが、2017年3月中旬からやや低下。しかし、9月以降再度上昇に転じ、
2018年に入って上昇が加速し始めました。
大規模減税や国防やインフラへの投資により財政状態が悪化し、悪い金利の上昇懸念が出ている一方で、4月以降は原油価格の上昇によるインフレ予測による金利上昇も出ています。
長期金利については5月中旬に3.1%まで上昇しましたが、今後の利上げペースの鈍化予想や貿易問題による景気悪化懸念などによって、その後低下しましたが、9月から再び上昇し、4か月ぶりに3.1%に到達。
今後のFRBの金利政策によっては「長期金利」の上昇を招き、住宅ローン金利の上昇につながり、住宅建築の鈍化につながる恐れが出ています。
2018年年初からみても、30年固定ローン金利は半年で0.5%上昇。
※10年国債金利
2015/12月末 2.3%
2016/ 6月末 1.5%
2016/12月末 2.4%
2017/ 6月末 2.3%
2017/12月末 2.4%
2018/9/25 3.1%
2008年の世界的な不況の大元は、アメリカの住宅バブルの崩壊から始まりました。
今後も推移を見守りたいと思います。