
厚生労働省が2024年6月3日に発表した「2023年の人口動態統計」によると、2023年の出生率(合計特殊出生率)は、前年より0.06ポイント悪化の1.20となりました。8年連続の低下し、過去最低を更新しました。
※静岡県:1.25 最高・・・沖縄:1.60 最低・・・東京:0.99
※合計特殊出生率・・・1人の女性が生涯に産むと推定される子供の人数。15歳~49歳の出産期の女性の年齢別の出生率を合算して計算。
2005年を底にして、3年連続で上昇しましたが、2009年はリーマン・ショックによる景気後退で、収入が減少したことが、出生率の上昇を止めました。
しかし、景気が若干回復し、(あるいは政府の少子化対策?)2010年以降は上昇したものの2015年をピークに再び下降。
出生率が前年比悪化した理由としては、20歳~29歳の年齢層の出生率が低下したことが要因ですが、婚姻数も減っていて2021年、2022年、2023年と新型コロナによる家計不安が結婚、出産計画に影響を与えた可能性があります。
出生数は72.7万人と、7年連続で100万人の大台を割り込み、前年比4.4万人減少し、1899年の統計開始以来過去最少となりました。
一方で、死亡数は157.6万人で前年よりも0.7万人増えました。
昨年は昭和以降過去最多の死亡者数(昭和19年~21年はデータなし)でしたが、新型コロナが-0.9万人の一方で、老衰での死亡+1.0万人、誤嚥性肺炎+0.4万人増加したことが主要因となり、前年比増加。
【出生率と、母の年齢別出生数、全死亡数の推移】
出生率 34歳以下 35歳以上 出生数計 死亡数 自然増減
1985年 1.76 132.9万人 10.3万人 143.2万人 75.2万人 68.0万人
1995 1.42 107.4 11.3 118.7 92.2 26.5
2005 1.26 88.9 17.4 106.3 108.4 -2.1
2015 1.45 72.3 28.2 100.5 129.0 -28.5
2020 1.33 59.5 25.3 84.8 137.3 -52.5
2023 1.20 50.6 22.1 72.7 157.6 -84.9
上記データを見ると年々出産数が減りつつ、高齢出産が増加していることが分かります。
★死亡数が出生数を84.9万人も上回っています。
2023年10月時点の都道府県別人口を見ると84万人以下の県は福井、山梨、鳥取、島根、徳島、高知、佐賀で、静岡県でいえば、浜松市と湖西市の人口が1年間で消えたことに相当します。
2007年以降毎年、死亡数が出生数を上回っており、日本は人口が減少する国になっています。
国立社会保障・人口問題研究所が2023年4月に発表した推計値を見ると、2020年対比で25年後の2045年には1735万人減る見込み。(出生中位、死亡中位)
当たり前ですが、人口を維持するには2人の親が「2人」の子供を生まなければ維持できません。
男女ともに晩婚化が進み、この影響で出産年齢の高齢化につながり、生まれる赤ちゃんも減っていきます。
※初婚平均年齢:男性31.1歳(1995年比+2.6歳)/女性29.7歳(+3.4歳)
第1子出産時の女性の平均年齢は31.0歳(1995年比+3.5歳)
★「人口統計の予測は、最も精度の高い予測」とも言われ、
今年生まれた赤ちゃんが、25年後に何人生存しているかは統計的に予測できるので、25年後に出産適齢期を迎えた人が今の25歳よりも減れば、生まれる赤ちゃんも減ります。
※2023/10/1現在日本人女性人口 25~29歳314.5万人⇒0~4歳199.4万人
ですので、このままでは人口減少は続きます。
こうした現状を受け、岸田政権では「異次元の少子化対策」を決定しました。
・児童手当・・・18歳まで支給、3人目以上の手当てを拡充、所得制限を無くす。
・育児休業手当・・・両親とも育休取得の場合、手取りベースで10割支給。
・出産費用・・・健康保険適用
・給付型奨学金拡充・・・世帯年収600万円未満で多子世帯、私立理工農系へ支給
・住宅ローン金利・・・多子世帯へ利子優遇
・保育所・・・就業要件の撤廃
個人的には更に資金的な援助を望みます。
3歳児以下の乳幼児無償化と、大学授業料については、多子世帯に限らず所得制限の緩和。
但し、大学については学業成績に応じて金額を変える必要があると思います。