
2020年、新型コロナウイルスによる世界的な感染拡大により、中国、ヨーロッパ、アメリカを中心に都市封鎖が実施され、各国で海外渡航が禁止され、人の移動が制限され、経済活動の停滞が始まりました。
このため、世界の株式市場は激動し、1月下旬から下がり始め、2月、3月と大幅な株価ダウンとなりました。
一方、2008年には世界はリーマンショックを経験し、世界各国の金融緩和と財政出動により何年もかけて、ショック前の株価に復活しました。
今回のコロナショックは果たしてどの程度谷が深く、そこから復活するのにどのくらいの期間が必要なのか、リーマンショク後の株価の動きを参考にしつつ、対比してみようと、グラフ化しました。
2008年8月末を100
◆リーマンショク 日経平均 NYダウ
"底":5ケ月後 58 61
元値復活まで 4年8か月 2年4か月
56ケ月後 106 129
2019年12月末を100
★コロナショック 日経平均 NYダウ
"底":3ケ月後 80 77
元値復活まで 11か月 11か月
56ケ月後 163 146
新型コロナ出現前の2019年12月末を100としたとき、56か月後の2024年8月末は、日経平均は163、ニューヨークダウは146。
●日経平均株価の回復状況
2019年末から2020年3月迄の3か月間の下落幅-4,739円に対し、
2020年4月~2024年8月迄の53か月で+19,730円挽回。差+14,991円
●ニューヨークダウの回復状況
2019年末から2020年3月迄の3か月間の下落幅-6,339ドルに対し、
2020年4月~2024年6月迄の53か月で+19,646ドル挽回。差+13,025ドル
コロナショックはリーマンショックよりも経済的には打撃が大きいとされ、コロナ前の経済状態に戻るまで2年かかるとも言われていました。
2020年4月以降は金融緩和マネーの株式市場への流入の上に、各国でのコロナワクチン接種拡大で経済活動が活発となり、一部企業では過去最高益も発表され、株価上昇につながり、日米株価は共に2020年11月には新型コロナ発生前まで回復しました。
★2020年3月のコロナショックから53か月経ちました。
2021年のニューヨークダウはアメリカFRBが当面金融緩和の継続を発表し3月には初の33,000ドル台を付けたのも束の間、その後も上昇を続け12月に36,000ドル台を付けました。
日経平均は2021年2月に一時的に30,000円台を回復することはあっても、感染再拡大とコロナワクチン接種の遅延により、29,000円前後を停滞。しかし、9月には菅総理退陣表明による新政権への期待とコロナ感染者の急減により、バブル崩壊後の最高値30,670円を付けました。
しかし、円安進展による輸入物価高騰で企業収益悪化懸念等により下落し年末は28,000円台後半で終了。
2022年の日経平均株価、ニューヨークダウは、2月のロシアのウクライナ侵攻、3月から始まったアメリカの物価高騰対策としての利上げにより下落。
その後は物価高騰の状況、アメリカの利上げに一喜一憂する状況が続き、夏までは下落・停滞し、9月は日経平均株価は25,000円台、ニューヨークダウは28,000ドル台まで下落。秋以降はアメリカの物価上昇スピードが鈍化し、利上げも抑制されるとの思惑から両株価は上昇。年末はニューヨークダウは32,000ドル台へ回復。しかし、日経平均株価は12月下旬に日銀が長期金利の実質利上げを発表し、年末には26,000円台に下落。
2023年はコロナ収束と日銀新総裁は4月以降も金融緩和継続表明、アメリカの著名投資家ウォーレン・バフェットの日本買い発言等で一気に上昇。日本株は1月から6か月連続で月間上昇を継続。7月~10月は利益確定売りとアメリカの金利高継続により30,000円台に下落した時もありましたが、12月は年末としては34年ぶりの高値を付けました。
ニューヨークダウは物価高と利上げで2023年5月迄は停滞を続けてきましたが、6月以降は年内利上げ停止思惑で上昇を再開し、7月末には35,500ドル台まで上昇し、12月はFRBの利上げ見送りが3会合続き、37,000ドルを突破して終了。
2024年1月の日経平均株価は円安、新NISA開始、海外投資家の買い越しによりぐっと上昇、ニューヨークダウは利下げ観測により上昇し、史上初の38,000ドル台へ。そして2月下旬には半導体関連株、商社株の上昇により史上最高値を更新し39,000円台を付け、ニューヨークダウも最高値の39,000ドル台を付けました。3月の日本株は更に上昇し史上初の4万円台へ。ニューヨークダウも最高値を更新。
しかし4月中旬にアメリカの消費者物価の上昇が止まらず、利下げが遠のいたとの観測から株価は下がり、更にイスラエルとイランの紛争により一気に株価は下落。
5月は中東紛争落ち着きと半導体関連株の上昇によりアメリカ株は上昇したものの、日本は長期金利の上昇により上値が抑えられました。
7月はアメリカの物価上昇落ち着きから利下げ期待が高まり、ニューヨークダウは最高値の40,000ドル台へ。日本も月中には最高値の42,000円台を付けたものの円高により下落。8月は急激な円高進展とアメリカ半導体株の下落により乱高下。一時31,000円台を付けました。
★まとめ
◆2020年に始まった新型コロナ感染拡大による経済活動の停止・停滞により日経平均株価、ニューヨークダウともに一気に下落。しかし各国の大規模な金融緩和政策に助けられ株価は年内に回復し、2021年以降も上昇しました。
しかし、負の側面として2022年以降は経済活動は回復したものの供給が追い付かず、感染の波と政府の収入支援もあって雇用は十分戻らず人手不足により賃金が上昇し、ウクライナ侵攻もあって物価は高騰。
これを抑制するため各国は利上げし、景気悪化懸念から株価は下落となりました。
日本は欧米ほどの物価の急騰は無く、金融緩和を継続しているところに、2023年4月以降の海外勢の日本株の見直し買いにより株価上昇。
◆2008年のリーマンショックは金融機関が大きく傷つき、金融危機の様相から株価は下落したものの、経済活動が停止・停滞したのは金融絡みの要因のため、各国協調の大規模金融緩和政策により徐々に株価は回復。
物価の急騰が無いことでリーマンショック後は順調に上昇。