アメリカの住宅価格は前年比上昇継続

FP鈴木

2024年08月28日 08:29


◆2024年8月27日にアメリカS&Pが発表した、アメリカの主要な住宅価格指数「S&P/ケース・シラー住宅価格指数」によると、2024年6月の主要10都市平均の指数は、前年同月比+7.4%の上昇となりました。

アメリカの住宅価格は、新型コロナの経済活動停滞の影響で2020年4月から3か月連続で下落したものの7月からは上昇継続。その勢いは2022年6月に一旦止まったものの、2023年1月からは再度上昇。

主要20都市平均の指数は、前年同月比+6.5%の上昇。
20都市を都市別にみていくと、前年比では全都市がプラスとなりました。

一方、前月比の伸び率では主要10都市で+0.6%、20都市で+0.6%となり、都市別では20都市の全都市がプラスとなりました。

前月比では5か月連続のプラスとなり、住宅価格は上昇が加速しています。

住宅価格の上昇の要因としては中古住宅の供給(在庫)が少なく、その背景には以前低金利で住宅購入したものの、買い替えしたくても金利高により住宅を手放せなくなっている状況があります。

◆そして、住宅関連指標でもう一つ重要なのが、住宅着工数。

2024年8月16日にアメリカ商務省が発表した、2024年7月の「住宅着工数」は前年同月比でー16.0%、前月比では+3.0%。戸数は、年率換算で123.8万戸

また、グラフにはありませんが、この指標の先行指標となる住宅着工許可数は、前年同月比でー7.0%。前月比はー4.0%。戸数は、年率換算で139.6万戸の水準。

★着工数も許可数も2020年7月から2022年4月まで大幅増加したものの、前年比では2022年5月から減少。2023年に入り住宅ローン金利が大きく上昇し、価格も高くなり購入にブレーキが掛かかりました。

◆米連邦準備理事会(FRB)は2022年3月、物価の高騰が続くためFRBは6年3か月ぶりに政策金利を利上げし、2023年も4回利上げされ、これにより短期金利である政策金利は合計+5.50%

一方、長期金利は2022年1月にぐっと上昇し2月中旬には2%を超えたものの、ロシアのウクライナ侵攻で一旦低下。3月中旬から再度2%を超えて上昇、10月中旬からは4%を超えたものの、物価上昇が一息つき今後の利上げが緩やかになるとの予想から、11月中旬以降は3.5%前後。

しかし、2023年2月発表の物価上昇率が高かった為下旬から金利は再上昇し、3月上旬には4.0%まで上昇しましたが、3月中旬に銀行破綻が相次ぎ、金融不安から長期金利は下落し、4月上旬には3.2%まで下落したもののその後上昇し10月には4.9%を超えました。その後物価上昇の落ち着きにより、年末に向けて下落。

2024年は年明けから上昇基調だったものの、8月以降は利下げ予想もあり低下。

※10年国債金利
2018年末2.7% 2019年末1.9% 2020年末0.9% 2021年末1.5% 2022年末3.9%
2023年末3.9% 2024年8月27日3.8%

★10年国債金利が+3.8%に対し、3ヶ月金利は+5.1%、2年金利は+3.9%
長短金利が逆転している為、景気悪化のサインがともっている、とされています。


30年固定の住宅ローン金利は、2022年1月から上昇を始め、2024年8月27日は6.0%
参考:日本の某地銀の2024年8月の30年固定金利は2.3%。

2008年の世界的な不況の大元は、アメリカの住宅バブルの崩壊から始まりました。
そして、新型コロナを端緒とした物価高騰と金利上昇による世界経済への影響が気になります。

今後も推移を見守りたいと思います。

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